BitterなフリしてほんとはSweet【完】



後ろにいるだけで、ラベンダーの香りがする。



耐えろ、耐えろと目をつぶって唱えている間に、玄関前についたらしく、鍵を取り出す彼女。



持ってるものも気取りすぎず、でも安すぎない、上品な物ばかり。




鍵穴を回して、くるっとこちらに振り返る。



まだ寝ぼけているのは潤んでとろんとした目。




「…瀧課長帰っちゃいますか?」




「へ?」




想像もしてなかった言葉に、頭が真っ白になる。




「寂しいです…っ」




突然眉をへの字に曲げて、悲しそうな表情をする。


…なっ、こんなの拷問っ!



まだ寝ぼけているのか!?



もしかして誘ったふりして、俺を訴えるのか!?




こんな夢みたいなことあるわけない。



パニック状態に陥り、心臓からドドドドドッと何かが迫ってきてるような音が掻き立てられる。


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