BitterなフリしてほんとはSweet【完】
「ふぅ〜」
部屋から漂ういつも彼女の香りに息を呑む。
そもそも女性の部屋に入ることなんてないのに、好きな人の部屋なんて…
一人暮らしらしい、リビングと部屋が繋がっているタイプの1LDK
綺麗に整理整頓されている。
俺なんてお構いなしに、靴を脱ぎ散らかして、カバンをそこら辺に捨ててベットへ直行する彼女。
いつにも増して自由。
まあしんどいんだから、寝たほうがいいし。早く寝てもらって帰ろう。
「あ、薬飲まないと…」
そう小さく独り言を呟き、なにやら薬箱を漁っている様子。
「今日は何か食べたのか?」
「朝から食欲なくて何も…」
朝から体調が悪かったのか。
「空きっ腹に薬は良くないだろ。…キッチン借りていいか?」
「…はい」
簡単なものなら、作れるし何か作るか。
ネクタイを緩めて、シャツを捲りながらキッチンへ向かう。