BitterなフリしてほんとはSweet【完】
頼まれてたデータを開いて、印刷をクリックする。
あー、もやもやする。
甘いもの食べないってどうして嘘ついたんだろう?
コピー機へ近づいて、印刷物を取り出して、瀧課長のデスクへ向かう。
…何話してたんだろう。
あんなに楽しそうに。
「これです…」
嫌だなぁ。付き合ってるのかなあ。
「ああ、ありがとう。SDWシリーズの販売台数はどうだった?」
うーん、気になる。
瀧課長ってあんな表情するんだね。
私には嘘つくのに、荒木さんの前ではあんな顔してパフェ…
「……」
胸が痛い。
「針間さん?」
「瀧課長は…甘いものが好きなんですか?」
「え?」
「荒木さんとお昼何話してたんですか…?」
「……へ?」
瀧課長のきょとんとした顔に、我に返る。
はっ!私思ってることをそのまま口に出しちゃってた!
顔に熱がこもって熱くなっていくのがわかる。
「す、すみません!忘れてくださいっ!失礼します!」
そう言って、逃げるように自分のデスクに戻る。
…はあ、もう最悪じゃん。
あんなこと聞くつもりなかったのに。
絶対瀧課長に変に思われたよね…
迷惑な部下だって思われたらどうしよう。