BitterなフリしてほんとはSweet【完】
「なっ、」
言葉にならない声。
胸がこれでもかと熱くなる。
思い出した。
…この柔らかい感触、あの時と同じだ。
熱を出したあの時、
…私、瀧課長とキスしたってこと?
「いけないところ見ちゃったなぁ。」
参った参った、と茶化すようにいう運転手なんの言葉なんて耳に残らない。
瀧課長を見れば、また眠ってしまってる。
…好きな子?
…わかってる。酔っ払ってるからだよね。
でもあの時のキスは?どうして?
混乱したまま、なんとかお金を払い、瀧課長の手を引いてタクシーを降りる。
夜風の涼しい風が、熱い頬を少しだけ冷ましてくれてる気がした。