BitterなフリしてほんとはSweet【完】


「なっ、」



言葉にならない声。




胸がこれでもかと熱くなる。




思い出した。




…この柔らかい感触、あの時と同じだ。





熱を出したあの時、




…私、瀧課長とキスしたってこと?





「いけないところ見ちゃったなぁ。」




参った参った、と茶化すようにいう運転手なんの言葉なんて耳に残らない。



瀧課長を見れば、また眠ってしまってる。





…好きな子?



…わかってる。酔っ払ってるからだよね。




でもあの時のキスは?どうして?




混乱したまま、なんとかお金を払い、瀧課長の手を引いてタクシーを降りる。



夜風の涼しい風が、熱い頬を少しだけ冷ましてくれてる気がした。




< 44 / 56 >

この作品をシェア

pagetop