BitterなフリしてほんとはSweet【完】
「もしかしてお酒飲んじゃったの?」
ぐったりした様子の瀧課長を見る。
「…はい。店員さんが間違えてウーロンハイを持ってきちゃって…」
「ごめんねぇ迷惑かけて。この子飲むとすぐ寝ちゃうの。」
妖艶に笑うお姉さん。
…飲んだ状態の瀧課長を知ってるんだ。
ちくっと胸が痛む。
どういう関係なんだろう。
「あ、いえ…迷惑なんて」
「ほら!理人起きて!全く〜」
慣れた手つきで、お姉さんが瀧課長に触れて叩き起こす。
その光景があまりにも自然で、日常的に見えて、居た堪れなくなって思わず俯く。
「ありがとうね。あなたも気をつけて帰ってね。」
「あ、はい。では、失礼します。」
頭を下げた途端、閉められるドア。
やけに広いマンションの廊下で立ちすくむ。
…なんか、色んなことが一気に起こりすぎて、もう無理かも。