働きすぎのお人よし聖女ですが、無口な辺境伯に嫁いだらまさかの溺愛が待っていました~なぜか過保護なもふもふにも守られています~
ルネもリシュアンも、ナチュラルにブランシュの心の中を読んでくることは気になるが、ふたりはもう人間を超越した存在だということで諦めよう。それに、ブランシュが落ち込んだことで、リシュアンは慰めようとしてくれたのだ。
(そうよ。リシュアン様は昔も今も変わらず優しいわ。人のために力を尽くし、助言を授けてくださるんじゃないの)
「ごめんなさい。私、失礼なことを言いました。リシュアン様のこと、信じてます。魔獣だろうがなんだろうが、あなたは私の神様ですもの」
虚空に向かって頭を下げると、ふわふわしたものが頬に触れた。目を開けて見ればそれはルネの尻尾だ。
《リシュアン、喜んでいるよ》
「本当? 怒っていませんか」
《うん。ブランシュはやっぱりいい子だ。ありがとう》
リシュアンの声が優しくて、ブランシュはやっぱり泣きたくなった。
こんなに優しい人が、魔獣というだけでいいように利用されて体を失ったなんて、なんて悲しい話だろう。
「リシュアン様には、もう意識しかないのですか? ルネみたいに体を作ることはできないの?」
《うん。多分ね。俺にも、よくわからないんだ。はっきりしているのは、千年ずっと水晶の中にいて、世界の多くの情報を吸い上げることができるけど、ルネみたいに自由に動ける形を作ることはできないってこと》
「そうなんですね」
見えるのに動けないなんて、なんてもどかしいのだろう。
まして、彼の声が聞こえる人間は聖女だけだ。彼がその優しさでいろいろなことを教えようとしてくれても、うまく伝わらないことも多かっただろう。
「でも、今は神託のときよりたくさんお話してくれるんですね」
《ルネが威厳を保てってうるさいから。ぼろが出ないように、あまりしゃべらないようにしている。でもブランシュはもう俺が魔獣って知ったから、好きなように話してもいいだろ?』
「そうですね」
(そうよ。リシュアン様は昔も今も変わらず優しいわ。人のために力を尽くし、助言を授けてくださるんじゃないの)
「ごめんなさい。私、失礼なことを言いました。リシュアン様のこと、信じてます。魔獣だろうがなんだろうが、あなたは私の神様ですもの」
虚空に向かって頭を下げると、ふわふわしたものが頬に触れた。目を開けて見ればそれはルネの尻尾だ。
《リシュアン、喜んでいるよ》
「本当? 怒っていませんか」
《うん。ブランシュはやっぱりいい子だ。ありがとう》
リシュアンの声が優しくて、ブランシュはやっぱり泣きたくなった。
こんなに優しい人が、魔獣というだけでいいように利用されて体を失ったなんて、なんて悲しい話だろう。
「リシュアン様には、もう意識しかないのですか? ルネみたいに体を作ることはできないの?」
《うん。多分ね。俺にも、よくわからないんだ。はっきりしているのは、千年ずっと水晶の中にいて、世界の多くの情報を吸い上げることができるけど、ルネみたいに自由に動ける形を作ることはできないってこと》
「そうなんですね」
見えるのに動けないなんて、なんてもどかしいのだろう。
まして、彼の声が聞こえる人間は聖女だけだ。彼がその優しさでいろいろなことを教えようとしてくれても、うまく伝わらないことも多かっただろう。
「でも、今は神託のときよりたくさんお話してくれるんですね」
《ルネが威厳を保てってうるさいから。ぼろが出ないように、あまりしゃべらないようにしている。でもブランシュはもう俺が魔獣って知ったから、好きなように話してもいいだろ?』
「そうですね」