働きすぎのお人よし聖女ですが、無口な辺境伯に嫁いだらまさかの溺愛が待っていました~なぜか過保護なもふもふにも守られています~
* * *
予想外なことが起きてしまった。
まさか自分に、結婚話が舞い降りるなど、晴天の霹靂とはこのことである。
神殿長を交えた話し合いが終わってから、オレールは領主交代の書類を提出し、受理された。これで、オレールは正式にダヤン辺境伯となったのである。
神殿長からは、その時にも『神の御意思に反するわけにはいかない。どうかブランシュを娶ってください』と念を押すように言われた。
神託である以上、この結婚に反対できる人間はいない。それが当人たちであっても。
神殿を出た後、領主交代の挨拶をしに陛下に拝謁したが、そこでも、神託の話は伝わっていた。
王は、オレールに一週間は王都に滞在するようにと言った。その間にブランシュを正式な婚約者にしようと、段取りを整えているらしい。
トントンと話が進むものの、当人たちは置いてけぼりだ。
そして現在、オレールは王都にあるダヤン家のタウンハウスにいる。
もともと、騎士団にいたころに拠点としていた屋敷だ。使用人とも慣れ親しんでいて、辺境の屋敷よりも気が休まる。
「なんで領主交代の報告に行って、結婚する話になったんです?」
側近となったレジスが、不思議そうに尋ねる。
「俺のほうが聞きたいよ。レジス」
オレールはレジスに、神殿からのとんでもない提案について愚痴っていた。
「まあでも、良いじゃないですか。堅物のオレール様は、今まで恋人もいらっしゃらなかったのでしょう? お父上が亡くなって、嫁の世話をしてくれる伝手もなくなったところですから、本当に神の思し召しかもしれませんよ」
「神にまで同情されているのか、俺は」
オレールは頭を抱えて唸った。
予想外なことが起きてしまった。
まさか自分に、結婚話が舞い降りるなど、晴天の霹靂とはこのことである。
神殿長を交えた話し合いが終わってから、オレールは領主交代の書類を提出し、受理された。これで、オレールは正式にダヤン辺境伯となったのである。
神殿長からは、その時にも『神の御意思に反するわけにはいかない。どうかブランシュを娶ってください』と念を押すように言われた。
神託である以上、この結婚に反対できる人間はいない。それが当人たちであっても。
神殿を出た後、領主交代の挨拶をしに陛下に拝謁したが、そこでも、神託の話は伝わっていた。
王は、オレールに一週間は王都に滞在するようにと言った。その間にブランシュを正式な婚約者にしようと、段取りを整えているらしい。
トントンと話が進むものの、当人たちは置いてけぼりだ。
そして現在、オレールは王都にあるダヤン家のタウンハウスにいる。
もともと、騎士団にいたころに拠点としていた屋敷だ。使用人とも慣れ親しんでいて、辺境の屋敷よりも気が休まる。
「なんで領主交代の報告に行って、結婚する話になったんです?」
側近となったレジスが、不思議そうに尋ねる。
「俺のほうが聞きたいよ。レジス」
オレールはレジスに、神殿からのとんでもない提案について愚痴っていた。
「まあでも、良いじゃないですか。堅物のオレール様は、今まで恋人もいらっしゃらなかったのでしょう? お父上が亡くなって、嫁の世話をしてくれる伝手もなくなったところですから、本当に神の思し召しかもしれませんよ」
「神にまで同情されているのか、俺は」
オレールは頭を抱えて唸った。