働きすぎのお人よし聖女ですが、無口な辺境伯に嫁いだらまさかの溺愛が待っていました~なぜか過保護なもふもふにも守られています~
やがて民家が数十件ある小さな町に入る。
「活気は……なさそうね」
畑があり、働いている人が見える。しかし市はでているものの、人は少ない。
「あの……」
ブランシュは窓を開けて呼びかけた。
「どうかされましたか?」
すぐさま、馬を寄せてくれたのはレジスだ。
「ここでは休憩はしないのですか?」
「申し訳ありません。ここは小さな町で、この人数が休めるような施設はありません。もう少し先に進んでからですね」
「そうですか」
ブランシュは馬車の座席に座り直し、再びルネと話す。
「ルネ、どう思う?」
《辺境地は国の端になるからどうしても寂れていくんだ》
それはブランシュにも分かる。前世の記憶からも分かるが、栄える場所は交通の便がいい。人が行き交うことにより、ものも集まり、知恵も生まれる。
《その中でも、ダヤン領はちょっとひどいな。領主がちゃんと対応していなかったんじゃないか?》
ブランシュには、そもそも領主の仕事というものがよくわからない。領民から税を取り、それを国に納めるほかに、領土の管理をするものなのだと漠然とは理解しているが、管理と言ってもなにをすればいいものなのか。
《産業の保護や、交通路の整備、不作の際などの保障なんかだろうな。ダヤン領は三年ほど前に伝染病がはやったことがあったはずだ。リシュアンが、南のマール領で採れる薬草で治ると言った時があったろう》
「ああ、そんな神託もありましたね」
《実際、それで薬は作れたが、流通に時間がかかって、ダヤン領は結構なダメージを受けたはずだ。三年も経って、ここまで復興していないとは思わなかったけど》
「そうなの……」
これが、オレールの言った『驚かないでほしい』という言葉の中身なのだろうか。
「活気は……なさそうね」
畑があり、働いている人が見える。しかし市はでているものの、人は少ない。
「あの……」
ブランシュは窓を開けて呼びかけた。
「どうかされましたか?」
すぐさま、馬を寄せてくれたのはレジスだ。
「ここでは休憩はしないのですか?」
「申し訳ありません。ここは小さな町で、この人数が休めるような施設はありません。もう少し先に進んでからですね」
「そうですか」
ブランシュは馬車の座席に座り直し、再びルネと話す。
「ルネ、どう思う?」
《辺境地は国の端になるからどうしても寂れていくんだ》
それはブランシュにも分かる。前世の記憶からも分かるが、栄える場所は交通の便がいい。人が行き交うことにより、ものも集まり、知恵も生まれる。
《その中でも、ダヤン領はちょっとひどいな。領主がちゃんと対応していなかったんじゃないか?》
ブランシュには、そもそも領主の仕事というものがよくわからない。領民から税を取り、それを国に納めるほかに、領土の管理をするものなのだと漠然とは理解しているが、管理と言ってもなにをすればいいものなのか。
《産業の保護や、交通路の整備、不作の際などの保障なんかだろうな。ダヤン領は三年ほど前に伝染病がはやったことがあったはずだ。リシュアンが、南のマール領で採れる薬草で治ると言った時があったろう》
「ああ、そんな神託もありましたね」
《実際、それで薬は作れたが、流通に時間がかかって、ダヤン領は結構なダメージを受けたはずだ。三年も経って、ここまで復興していないとは思わなかったけど》
「そうなの……」
これが、オレールの言った『驚かないでほしい』という言葉の中身なのだろうか。