働きすぎのお人よし聖女ですが、無口な辺境伯に嫁いだらまさかの溺愛が待っていました~なぜか過保護なもふもふにも守られています~
食事の後、オレールは執務にとりかかるというので、ブランシュはマリーズに屋敷を案内してもらうことにした。
「みゃん」
もちろん、ルネも一緒だ。
「ルネはブランシュ様にとても懐いているのですね」
マリーズが感心したように言う。
(まあ、彼は私の頭の中身が見たいだけなんだけどね)
ダヤン辺境伯家の建物は、上から見ると南側の一辺が開けた六角形である。中心に小神殿があり、囲うような形となっている。
本邸は家財が売られたような形跡もあったが、小神殿には手を付けていないようだ。宝物はきちんと残されているし、財政が悪化している今も、高給と言われる神官をきちんと雇用している。信仰心の強い土地柄なのだろう。
「マリーズ。こちらの小神殿は、一般の方は来られるの?」
「週に二度、開放日があります。ちょうど今日がその日ですよ」
ブランシュたちは、本邸からの渡り廊下を伝って入ったのだが、正面玄関の方は、人だかりができていた。
「これはブランシュ様、今は危険ですので、お入りにならない方が……」
神官のひとりが、ブランシュの姿を見つけて駆けよってくる。
「どうしたの?」
「聖女様を一目見ようと、街の者たちが詰めかけているのです」
「まあ」
「普段でしたが、こんなに大人数はこないのですが……」
街の人間は、オレールが聖女を連れてくることを知っていた。おそらくは、ここを訪れた人たちにシプリアンが伝えていたからだろう。
「せっかく来てくれたのだもの。顔だけ見せればいいのでしょう?」
「しかし」
「大丈夫よ」
「みゃん」
どうするんだ? と、ルネが問いかける。
「私は聖女だもの。リシュアン様にご協力いただくのよ」
ブランシュは、街の人々を礼拝室に入れるよう神官に頼んだ。
水晶の間は礼拝室の奥にあり、参拝者はガラス窓越しに水晶を見ることができる。
「みゃん」
もちろん、ルネも一緒だ。
「ルネはブランシュ様にとても懐いているのですね」
マリーズが感心したように言う。
(まあ、彼は私の頭の中身が見たいだけなんだけどね)
ダヤン辺境伯家の建物は、上から見ると南側の一辺が開けた六角形である。中心に小神殿があり、囲うような形となっている。
本邸は家財が売られたような形跡もあったが、小神殿には手を付けていないようだ。宝物はきちんと残されているし、財政が悪化している今も、高給と言われる神官をきちんと雇用している。信仰心の強い土地柄なのだろう。
「マリーズ。こちらの小神殿は、一般の方は来られるの?」
「週に二度、開放日があります。ちょうど今日がその日ですよ」
ブランシュたちは、本邸からの渡り廊下を伝って入ったのだが、正面玄関の方は、人だかりができていた。
「これはブランシュ様、今は危険ですので、お入りにならない方が……」
神官のひとりが、ブランシュの姿を見つけて駆けよってくる。
「どうしたの?」
「聖女様を一目見ようと、街の者たちが詰めかけているのです」
「まあ」
「普段でしたが、こんなに大人数はこないのですが……」
街の人間は、オレールが聖女を連れてくることを知っていた。おそらくは、ここを訪れた人たちにシプリアンが伝えていたからだろう。
「せっかく来てくれたのだもの。顔だけ見せればいいのでしょう?」
「しかし」
「大丈夫よ」
「みゃん」
どうするんだ? と、ルネが問いかける。
「私は聖女だもの。リシュアン様にご協力いただくのよ」
ブランシュは、街の人々を礼拝室に入れるよう神官に頼んだ。
水晶の間は礼拝室の奥にあり、参拝者はガラス窓越しに水晶を見ることができる。