働きすぎのお人よし聖女ですが、無口な辺境伯に嫁いだらまさかの溺愛が待っていました~なぜか過保護なもふもふにも守られています~
 賢者ルネは、建国の立役者だと言われている。

 今から千年前、この大陸で覇権争いがおこった。
 小国ベルデノットを中心とした諸国連合が、大国アスタリスクに攻撃を仕掛けたのだ。
 常であれば、どれほど小国が寄り集まってアスタリスクに挑んでも、戦力的にかなうはずはない。しかしこの時は違った。ベルデノットの魔術師が、六尾の魔獣を洗脳し、戦闘の武器としたのだ。

 魔獣は魔力を多く持ち、力と魔法でアスタリスクの領土をほぼ焦土と化した。
 しかし、今度は諸国連合の中で内輪もめが起こる。ベルデノットは魔獣を制御しきれなくなり、諸国連合の土地も魔獣に破壊されていった。
 土地は荒廃し、もはや敵も味方も分からないほど状況は混乱した。

 その時立ち上がったのは、大国アスタリスクの賢者・ルネだ。
 ルネは、現状を憂う土地神リシュアンの加護を得て、魔獣の魔力を封印し、長き戦いに終止符を打ったのだ。
 その後ルネは、リシュアン神を唯一神としてあがめる神聖国エグザグラムを建国した。
 エグザグラムの王となったのは、生き残っていたアスタリスク国の王族だったが、国名をアスタリスクとしなかったのは、生き残ったすべての人間を国民として受け入れ、平等で平和な国を作るためだと言われている。

(そんな立派な人が、猫のはずないじゃない!)
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