働きすぎのお人よし聖女ですが、無口な辺境伯に嫁いだらまさかの溺愛が待っていました~なぜか過保護なもふもふにも守られています~
「オレール様がいいと言ってくださらなければ、領内で新しい事業は始められません。あなたが、私の話を聞き、理解しようとしてくれたから、できたことなんですよ」
「ブランシュ……」
「それに、私はあなたの妻になりたいんです」
今の時点で、ブランシュとオレールは婚約者でしかない。ここで、領主交代など起こってしまえば、神託によるブランシュの相手は、ダミアンになってしまう。
見上げるブランシュの瞳には、必死さが潜んでいる。
オレールはしばらく目を泳がせていたが、やがて意を決したように頷いた。
「俺も、君を誰にも渡したくない。リシュアン神の神託になぞらえれば、君を娶るのはダヤン領の領主だ。だったら、俺は領主のままでいる」
「オレール様!」
ブランシュは心底ほっとした。
ずっと、ダミアンへの劣等感を抱えていたオレールが、ようやくその言葉を言ってくれたのだ。
「明日、兄上と話し合うよ。君の力があってこそとはいえ、今くらいの活気のあるダヤン領にしたのには、俺の力だってあるはずだもんな」
「ええ!」
「さすがです。オレール様。私はこれからもオレール様についていきますよ」
レジスもようやく安心したようにほほ笑み、飲み終えたカップをまとめる。
「おふたりの絆がしっかりしていることが、なにより大事ですよ。おやすみなさい」
そうして、使用人たちと共に出て行った。急に静かになって、ふたりきりだという事実を実感する。
ブランシュもオレールも、照れくさくて言葉に迷っていた。
「……喪が明けるのを待つなんて言わず、さっさと結婚してしまえばよかったな」
「でも、あのとき結婚するより、今から結婚した方が幸せな気がします。今は……好き同士ですもの」
「違いない」
オレールの手が、ブランシュの頬を撫でる。そして、優しく、温かいキスが落ちてきた。
(うれしい……)
胸の奥が温かく、くすぐったい。
「ブランシュ……」
「それに、私はあなたの妻になりたいんです」
今の時点で、ブランシュとオレールは婚約者でしかない。ここで、領主交代など起こってしまえば、神託によるブランシュの相手は、ダミアンになってしまう。
見上げるブランシュの瞳には、必死さが潜んでいる。
オレールはしばらく目を泳がせていたが、やがて意を決したように頷いた。
「俺も、君を誰にも渡したくない。リシュアン神の神託になぞらえれば、君を娶るのはダヤン領の領主だ。だったら、俺は領主のままでいる」
「オレール様!」
ブランシュは心底ほっとした。
ずっと、ダミアンへの劣等感を抱えていたオレールが、ようやくその言葉を言ってくれたのだ。
「明日、兄上と話し合うよ。君の力があってこそとはいえ、今くらいの活気のあるダヤン領にしたのには、俺の力だってあるはずだもんな」
「ええ!」
「さすがです。オレール様。私はこれからもオレール様についていきますよ」
レジスもようやく安心したようにほほ笑み、飲み終えたカップをまとめる。
「おふたりの絆がしっかりしていることが、なにより大事ですよ。おやすみなさい」
そうして、使用人たちと共に出て行った。急に静かになって、ふたりきりだという事実を実感する。
ブランシュもオレールも、照れくさくて言葉に迷っていた。
「……喪が明けるのを待つなんて言わず、さっさと結婚してしまえばよかったな」
「でも、あのとき結婚するより、今から結婚した方が幸せな気がします。今は……好き同士ですもの」
「違いない」
オレールの手が、ブランシュの頬を撫でる。そして、優しく、温かいキスが落ちてきた。
(うれしい……)
胸の奥が温かく、くすぐったい。