犬猿の仲の彼の専属メイドになりました。
こんなこと、咄嗟の思いつきで言えるわけがない。


「いつからそのようなことをお考えで?」
「お前の家の経営が徐々に傾き始めたぐらいから」


(そんなに前から・・・?)


だって経営が傾き始めたとき、遥くんは中学1年生だった。

それから雅楽代に吸収されるまで3年と経たなかったのに、その間に私の学費を確保し、雇う準備をしていたというのか。

年下だと、助けなくてはと思っていた遥くんが急に大人びて見えた。


私は今まで無意識に、遥くんを私よりずっと幼いと思っていた。

たった1つしか変わらないというのに。

1つ上の兄と対等かのように自分を語っていた、この私が。


「まぁ偉そうにこんなこと言ってるが、実際はまだ資金集めぐらいしかできていないがな。人脈はまだまだ少ないし、口だって上手くない。さっきも凜が入って来なかったら丸め込まれていたかもしれないし、ほんと情けない」


遥くんはさっきからずっとイライラしている。

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