犬猿の仲の彼の専属メイドになりました。
このまま俺が何もしなければ、凜はどうなる。

俺の知らないところで勝手に婚約させられるかもしれない。

それか、凜の才能に気づいた父親がそれを利用するかもしれない。

それじゃダメだ。

理由はよく分からないが、絶対にダメだ。

それだけは分かる。

じゃあどうすればいい。

最善策はなんだ。


「凜には俺の専属メイドになってもらう」


パッと思いついたことがそのまま口から出ていた。


「お前最近まで専属とか要らね、とか言ってただろ」
「要るようになったんだよ」


ふんぞり返ると父親は苦悩するかのようにこめかみを押さえた。


「何を考えているか知らんが・・・まぁいいだろう」


何だかんだ父親は身内には甘い。

雅楽代にいるうちは存分に利用させてもらおうと思う。

使えるものは使っとけ。

これを俺に教えたのは父親ではなく凜だった。
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