氷の華とチョコレート

◆ぶり返す影に


「えっと、……次は、冬物のアウター、いいのがあれば買いたいけど……」


 欲しかったジューサーを買って、ご機嫌な私は、頭の中で今月の予算を考えながら、自分の好きなアパレルブランドショップへ向かっていた。

 Wデートをしたあの日から、ちょうど一週間たった日曜日。週末に一人でいる事が少なかったので、今日は午前中に掃除や洗濯を済ませて、ショッピングを楽しんでいた。

 あれから真間さんは、出張前の夜の電話と、一昨日の夜にメッセージをくれただけで、本当に忙しそうだった。あと一週間、寂しいけれど、なるべく邪魔しないようにしよう。

 鷹井先輩お勧めの、美容にいい朝生ジュースを実践したくて、お手頃のジューサーを見つけられて嬉しかった。アウターはチェックするだけで買うのは来月にして、生ジュース用の野菜と果物を買おう。リンゴとバナナを買って、人参はあるから、……後は蜂蜜とブロッコリーにしてみようかな?

 久しぶりのショッピングが楽しくて、声を掛けられるまで気付けなかった…―――


「美羽?」


 ―――…えっ?



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