氷の華とチョコレート

 えっ?

 振り向くと、鷹井先輩がニヤニヤした顔で、すぐ後ろに来ていた。


「ち、違います! この人が傘が一本もなくて困っていたから、私のを取り合えず渡したんです、それで返してもらうのに名刺をもらって……」


 私は、あわてて説明した。


「ふ~ん? あの鉄壁の氷の華な氷室ちゃんが自分の傘をねぇ」


 うぇっ? 本当に誤解されてる?


「た、鷹井先輩? 本当に真間さん困ってたんです」

「へぇ、真間って言うんだ?」


 な、何でこんなに突っ込まれてるの?

 他意は全然ないのに、鷹井先輩の突っ込みに、どんどん私の顔は熱くなっていく。


「本当にそれだけなんです」

「そうなんだ? でも、氷室ちゃん真っ赤っかだよ?」


 もう


「それは、鷹井先輩が突っ込むからです!」



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