氷の華とチョコレート

『……これでも、氷室さんの彼なんだけど?』

「……」


 それは、よく存じ上げております……。

 私があんまり驚いたからだろうか? 通話中の彼の声が、ちょっと憮然としたものに変わる。


『……はぁ、こんな所で何も出来ない自分がもどかしいよ、今この時に、氷室さんのそばに行くことが出来ない自分が、もの凄く悔しい、……です』


 真間さんからの言葉が、拒絶ではなかったことに安堵して、また涙が滲んでくる。本当に、今ここに真間さんがいてくれたら、ずいぶん安心出来るだろう……。


「……そう言ってくれて嬉しいです、私も真間さんに会いたいです」

『!? 〇▼◇〒■@●◎∞~…、……オ、オレも、会いたい……、です』

「……!」


 通話の向こうで悶えるような真間さんの悲鳴? と言葉に、頬が熱くなる。自分自身で傷つけた心が、少しだけ癒されていく気がした。

 でも、……あれ? こんなリアクション、する人だったっけ?


『遠いよ……、飛んでいきたいのに、飛行機さえ飛んでくれないこの時間、それに、明日も仕事でまだ一週間帰れないし、本当にオレって間が悪いしカッコ悪いね……』


 えぇっ?



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