氷の華とチョコレート

 通話を切ると、暁陽と菜摘が心配して、隣の部屋から出てきてくれた。


「大丈夫だった? 真間さん」

「なんか、言われたか?」


 同じ顔つきで心配をしてくれる二人は、本当に優しくて……。思わず涙が出てきてしまう。今日はもう、涙腺が弱くなっているみたいだ。


「!? やっぱフラれたか?」

「馬鹿ね、どう見ても嬉し泣きでしょ?」

「うん、真間さん、色々考えてくれるって言ってくれたの」

「そっか……」

「よかったじゃん、今のところは、だけどさ」

「うん」


 明日はどうなるかわからない。気持ちが追い付かないことだってある。

 栗栖さんの事を話せて良かったのかも、まだわからないけれど、励ましてくれた菜摘、叱咤してくれた暁陽、考えてくれると言ってくれた真間さんに、心から感謝して眠りにつく。

 不思議と、栗栖さんの事は思い出さずに今日は眠ることが出来た。



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