氷の華とチョコレート

 次々と、リュックから機材を取り出して、KEYさんはテーブルに置いてゆく。これ全部、盗聴の発見器なんだろうか?


「コレ、何ですか?」


 興味津々で、菜摘は、テーブルに置かれた機材を見ていた。この前より大きくて量も多い。


「……盗聴器とか、その他色々を発見する、ヤツ」


 淡々と、でも律儀に質問に答えてくれるKEYさん、私達に目を合わせようとはしてくれない。菜摘は、気にもしていない様子で、頭をひねって何かを考えている顔をしていた。


「……その他色々って、例えば?」

「盗撮用のカメラがないか、位置情報を発信するものが仕掛けられてないか?」


 と、盗撮用カメラ!?


「盗撮って……、ヤバッ! そんなのまで調べるの?」

「依頼人の要望」

「……」


 盗撮・盗聴・位置情報? まるで外国のスパイ映画の世界の様だ……。あんまりにも現実とかけ離れたものを調べる機械たちを見下ろして、つい息をのんでしまう。



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