氷の華とチョコレート

「……私に、ですか?」


 友情で焼きもちを焼かれたのは、初めてかも知れません。


「たぶん、どっちにも? かな?」

「……!?」


 私には、わかる気がしたけれど、荒谷さんにもなのが、よくわからなくて……。ふと頭の中で、前に聞いた平井さんの言葉が浮かび上がる。


『まぁ、言わなくて正解かな? あいつ結構焼きもち焼きだよ?』

「……」


 まさに、コレがそうなのでしょうか? 嬉しいような、どうすればいいのか困ったような……。真横に抱き寄せられていて、真間さんの顔が見えないから、今どんな顔をしているのかわからなくて。


「……あまり、仲良くならない方がいいですか?」


 それはそれで寂しい気がしたので、声のトーンが落ちてしまう……。


「うぅん、オレの問題だから気にしないでいいよ? でも……」


 でも?

 肩を抱いていた腕の力が抜けて、気付くと、すぐ目の前に真間さんの顔があった。チョコレート色の瞳が、寂しそうに細くなって、私のおでこにコツンと彼の額が重なった。触れたおでこから、自分の体温がどんどん上昇していくのがわかる。


「オレの事を一番にしてくれたら、嬉しいです」


 うわぁぁぁ

 こんな真間さんは初めてで、鼓動が一気に二倍速になって…―――


「……っ、……はい」


 私は、頷いて、なんとか返事するのが精一杯だった。



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