氷の華とチョコレート
何度となく繰り返されるから、気になって、目が冴えてしまった。
起き上がると、隣の部屋と言うかリヴィングに明かりがついていた。真間さん、まだお仕事をされているのかしら?
さっき借りたモコモコのパーカーを羽織って、寝室のドアを開けて見ると、ソファーにいるはずの人がいなかった。リヴィングに入るガラスドアから玄関へ続く廊下に灯りがついているのが見えた。
お手洗いか、お風呂かしら?
それなら、気にせず寝た方がいいわね、そう思った瞬間に、また遠くから何処かの部屋のドアを叩く音が聞こえて来た。
「……」
もしかして真間さん、コレを見に行っているのかな?
廊下に出ると、洗面所にもお風呂にもお手洗いにも電気はついておらず、玄関にあった、真間さんの靴がなくなっているのが見えた。
ダンダンダン……、ダンダンダン……
玄関のドアを開けると、ひと際大きくドアを叩く音が聞こえてくる。この階では、ないみたい。下から男の人の声が聞こえる。やっぱり、何を言っているのかはわからない。
真間さんは、何処へ行ったんだろう?