氷の華とチョコレート



 一週間後の日曜日…―――


 私は、ショッピングモールのよく行くカフェで、ぼんやりとミルクティーを飲んでいた。

 店内は、館内で統一されて流れているクリスマスソングが、これから迎える日にむけて楽しそうに聞こえてくる。

 一人でこんな風にぼんやり出来るのも久しぶりだった。


「お待たせ」


 声がして顔を上げると、真間さんが、私の向かいの席にコーヒーのトレイを置いている所だった。

 今日は、出張帰りの真間さんと、夜ご飯を食べる約束をしている。


「早かったですね、出張お疲れ様でした」

「うん、なんとかマスクして商談させてもらえたよ」

「良かったですね、上司の人は、平気でした?」

「うん、色々言いたそうだったけど、平井さんがフォローしてくれたんだ、……今までなら無理だったけど、このご時世だからね、オレは逆に助かった……」


 と真間さんは、苦笑する。頬の痕は、ほとんど気にならないくらいになっていて、ホッした。



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