氷の華とチョコレート

 先週、栗栖さんが警察に連れて行かれた後、真間さんと病院へ行き、殴られた痕の手当てと診断書をもらって、荒谷さんの待つ警察署へ向かった。

 警察署へ行くと、ほぼ荒谷さんが手続きを終えていて、彼が用意してくれた弁護士さんから示談の流れの説明を受けつつ、真間さんは被害届の書類を書いた。

 示談金の請求額は、荒谷さんに渡す『何でも屋』さんでかかった費用と、今回の経費タクシー代や治療代、迷惑料などを入れて、弁護士さんが算出してくれて。

 その額で、栗栖さんの弟さんとお母様は異論なく示談に応じてくれてた。次の日には、栗栖さんを引き連れて、実家のある地方へ帰って行った。

 五年前、何ヶ月もかかった様々な手続きが、たった二日でほぼ終わった事に、私は驚いて……、改めて、色々考えてくれた真間さんと、助けてくれた人達に心から感謝した。

 けれど


「……また、栗栖さんは実家を抜け出してくるかも、知れないんですよね……」



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