氷の華とチョコレート

 ポツリと、不安が口をついて出てしまった。いけない、ここまで頑張ってくれた真間さんに、そんな言葉を聞かせるなんて……。


「氷室さん?」

「ごめんなさい、変なこと言ってしまって……」

「全然、変なことじゃないよ? それに、ケージがね、色々調べてくれたみたいで……」


 スマホを取り出して、メール画面からとある施設のホームページを開けて私に見せてくれる。非認可のNPOが運営する、更生支援施設?


「……ここは?」

「ん~……、外国のモデルを採用していて、国からの正式な認可はまだ出ていないんだけど、小さな町みたいな一つの場所で部屋とかは個室だったかな? 自給自足といろんな手仕事をして集団生活をしながら、数年かけて心のケアを中心に、今の社会で生きて行く力や考え方を付けて行く感じの所らしくて、この前来ていたご家族に提案したらしいよ?」


 心のケア……、生きて行く力や考え方?



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