氷の華とチョコレート

「その町って、外出するのに家族同伴が必須で、しかも独自のお金を流通させているから、例え抜け出しても電車もバスにも乗れないらしいよ?」

「……っ!?」


 何故だろう、頭の中に『徹底的』と言う文字が浮かんでしまった。


「……そ、れは、安心出来そうな話ですね」

「まぁ、選択するのはご家族だから、まだわからないのが現状だけど、そこへ行ってくれると、オレもホッと出来るかな?」


 ……えっと?


「……真間さんが、ホッと、ですか?」

「うん、だって次に来た時、どうすればいいかもう思いつかなさそうで……、さすがに、今回みたいに、もう殴ってはくれないでしょ?」

「……」


 次って…―――


 遠い先かも知れない未来を、当たり前に語る真間さんに、私は嬉しいような困ったような……、少し頬が熱くなり下を向く。

 まだ、付き合って五ヶ月と短いけれど、色んなことがあった。もう、真間さんのいない日常を考えられなくなっている。


「色々考えてくれて、ありがとうございます」

「うん?」


 真間さんにもらった気持ちや、言葉で表せられないたくさんのものを、これからきちんと返せるといいな……。



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