氷の華とチョコレート
夜、自分のベッドの上で、夕方もらったロールペーパーのメモを見つめる。
「……」
携帯番号のみ書かれたロールペーパー。真間さんからもらった、チョコレートの中に入っていた物と同じ柄。でも、それを渡してくれたのが、小山内先輩の狙っているイケメン、Re:社の営業平井さん……。
自意識過剰かも知れないけれど、もし、この番号が平井さんだったら、結構やっかいなことになる。ただカンで言えば、このメモは、真間さんの番号のような気がする。
「……」
でも……。でももし、平井さんだったら? 想像するだけで、怖くなる。
ど、どうしよう。
小山内先輩に、何されるかわかんないし……。嫌、全然接点のない人が、メモ渡してくる訳ないから!
でも、でも……。
頭の中で、ぐるぐると何十回目かの堂々巡りを繰り返し、また、同じ場所に戻る……。
「あぁ、もう! 誰だっていいじゃん」
取りあえずかけてみよう。真間さん以外だったら、どうせ断るつもりなんだし。