氷の華とチョコレート

 ドキドキする指先で、メモに書かれている番号を、タッチパネルで弾いていく。


「……」


 コール四回


『――…はい?』


 ドキッ

 で、でも、それだけの声じゃ、どっちだかわからない。


「……あ、あの、氷室です」

『――…えっ!? ……あぁ!』


 驚いたリアクション、かけてくるとは思わなかったような?


「……」


 やっぱり、やめておけば良かったかしら?

 声を聞いても、真間さんなのか平井さんなのか、まったくわからないくらいしか、彼らのことを知らないことに気付く。いつもなら、絶対かけないシチュエーションなのに。


「……」

『……』


 全然、しゃべらないし、私もしゃべれない。


『――…ご、ごめん、あんまり突然だったから、言葉が出てこなくて』

「私こそ、かけたのにごめんなさい」


 本当は、あなたが誰なのか、わからないんです。


『えっ? ……何で謝るの? オレは嬉しかったんだけど?』



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