氷の華とチョコレート

「……」


 これは正直に、言った方がいいよね?


「あの……、ごめんなさい私、かけたのはいいけどあなたが誰なのかわからないんです」

『――…えっ!?』

「メモにも携帯番号しかなくて、それで……」


 手探りでしゃべる電話の向こうの相手が、真間さんだったらいいなと、言うだけでかけたんです。なんて、恥ずかしくて言えそうにない。


『――えっ? ……あっ! そうか、ごめん、オレ真間です』


 あっ……、電話だとこんな声、なんだ。ホッとした拍子に、スマホをベッドの上に落としてしまい。

 キャーッ!

 つ、通話が切れちゃう。あわてて拾って画面を確認すると、……だ、大丈夫そう?


「ごめんなさい、落としちゃって……」

『あはは……、一瞬切られたかと思ってあせったよ』

「そんな失礼なことしません!」


 言いながら内心ドキドキだった。お、落っことして切れなくて、本当によかった。


「……」

『……』


 また沈黙してしまった。

 こう言う時の会話スキルまったくないんだわ私……。



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