氷の華とチョコレート

「……まぁまぁ桑畑、美羽は、付き合ったばっかで、まだまだだからさぁ、勘弁してあげて?」

「えっ? そうなの? 真間さんと付き合って一年くらいなんでしょ?」

「えっと、まだ一年じゃぁ、ないです……」


 まだ、彼の話をするだけでも、照れて上手く話せそうにないんです。ましてピロートークだなんて、ハードルが高すぎです。


「それより、桑畑さんこそ、いつも彼と何話すの~? アタシあんまりそう言うのしないから参考にしたいなぁ」


 私のヘルプを受信してくれたるりは、大げさにリアクションしつつ、少しおねだりをするように彼女に聞く。彼女のコミュニケーション力に大感謝だ。


「え~っ、恥ずかしいから他の人には言わないでね……、実はぁ…―――」

「……」


 どうやら自分の事を話したい人だったらしい。話が自分から反れてホッとする。るりにこっそりと感謝を伝えた。



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