氷の華とチョコレート
とにかく、自分からかけたんだから! と意味不明の使命感で、なんとか会話の糸口を頭の中から、引っ張り出そうと試みる。
「……」
ふと、頭の中に可愛いガラスの器が浮かぶ。あっ……、チョコレートのお礼しなきゃ。
「あの、チョコレートありがとうございました、美味しかったです、器も可愛くて……」
嬉しかったんです。
『本当? 良かった、氷室さん甘いのダメだったらどうしょうって、買ってからちょっと悩んじゃって……』
真間さんの、落ち着いた声のトーンが心地いい。彼のふんわりした笑顔を思い出す。
この人と、恋が出来たらいいのに……。
私は、一枚のメモを手にして、もう一度目を通す。
「あの、……真間さんがくれたメモのお返事なんですが」
『えっ?』
恋をするのに努力が必要なら、私も……。
緊張して震える声を抑えて、言葉を考えて、考えて…――
「私でよかったら、一緒に行ってもいいですか?」
小山内先輩や秘書課の人達じゃ、ないけれれど、ドキドキする胸を押さえて私は言う。
「私も、甘いの大好きなんです」
自分から頑張ってみようと、思ったから。