氷の華とチョコレート

「公園? この辺詳しいんですか?」


 私は、真間さんの斜め後ろを歩いて、まわりを見渡した。


「学生時代、この辺だったんです」


 へぇ、この辺の大学だったんだ?


「静かでいい所ですね」

「あまり頭のいい大学じゃないのバレちゃうけどね……、留学したくてそこにしたんだ」


 頭をかいて、あはは……、と真間さんが笑って言う。


「私、地方だったので、この辺のことは全然なんです」

「そうなんだ?」

「留学しやすい大学だんたんですか?」

「そう、自由でけっこう融通が利いて留学制度がよかったんだ」


 歩きながら、真間さんのお話を聞いていると、目の前に、青々と茂るケヤキ並木が現れた。緑が風に揺れて心地いい。


「どの国へ行ったんですか?」

「オーストラリア、南半球に行きたくて」


 南半球……。



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