氷の華とチョコレート

「氷室さん、受付当番行くよ?」

「あっ、はい」


 めずらしい、鷹井先輩と一緒だなんて。

 夕方の当番な上に、優しい先輩と組めるなんて嬉しい……。

 鷹井先輩は、私のことをかばってくれる先輩の中の一人。私は、ホッとした気持ちで鷹井先輩の後を追う。


「今日夕方から雨みたいだから、人少ないかもよ?」

「ニュースで夕立だって言ってましたね」

「人少ないとのんびり出来るからラッキー」


 鷹井先輩は、柔らかいウェーブを揺らして気さくな笑顔で言った。自然と私の顔にも笑顔が浮かぶ。

 鷹井先輩は、秘書課にしてはめずらしく、サッパリとしたタイプのお姉さんで、新人の頃は良く励ましてくれたり、仕事をフォローしてもらった。

 最近は、臨時の秘書に付くことが多かったから、組むのは久しぶりだ。


「鷹井さん、臨時の秘書ってどんな感じですか?」

「え~? そうだなぁ、最初はドキドキだったけど、一通りやってみたらやっぱ……」


 やっぱ?



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