氷の華とチョコレート

「やっぱり、きちんとした自分の担当を持ちたいって思うようになったかな?」

「……」


 きちんとした担当秘書、それは、この会社では、役員付きの秘書になると言うこと。秘書課にいるからには、専属になるのが当たり前で、一番のステータスらしい。

 他部署に行きたい私には、良くわからないことだけれど……。


「専属って言っても、オジサンの世話だけどね~」


 小さな声で、舌をペロッと出して先輩が毒を吐く。


「!? た、鷹井さん、誰かに聞かれたら大変です」

「あはは、コレ内緒ね!」


 口元に人差し指たてて、イヒヒと笑う。


「……」


 そんな仕草も可愛らしくて、私はつい顔がほころんでしまう。

 鷹井さんみたいな人になりたいな。

 優しくて、自信があって、可愛らしくて、なにより、他人に流されない自分を持っている。そんな風になれたら私の人生、今とは全然変わってくれるかしら?




 ピカッ

 バリバリドオォォォォ-ン!!


 えっ?



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