氷の華とチョコレート
「……オレの担当している取引先三社に、さっき言ったスパルタな上司に企画をぶち込まれちゃってね、しかも連続ノンブレスで、……こんな事なら、一社ずつバラしてやれるように受けておけば良かったんだけど……」
だけど?
チラッと、恥ずかしそうに私を見て、視線を逸らす真間さんの顔が、とても可愛らしく見えてしまって……。
「氷室さんと付き合えて、しばらく浮かれてたから、上司のワナに気付けなかった……」
「……!!」
これは、喜んでいいい所なのか、非常に悩むけれど、嬉しいと言う気持ちが、私の中で膨らんでいく。
「……付き合いはじめは、一応、抑えててくれてたみたいだから、今回は頑張って来るよ」
はぁ、とため息をついて苦笑する真間さん。その上司の人との関係が、垣間見えて微笑ましく思う。きっと、その上司さんも本当はいい人なんだろうな。
「……はい、ちゃんと教えてくれて嬉しいです、会えないのは寂しいけど、お仕事頑張って来てくださいね」
「……」
真間さんは、目を見開いて私を見た後、片手で口を押えて、横を向いてしまった。