双子アイドルは俺様暴走族！
☆☆☆

ユズちゃんに見送られて家を出ると、そこにはいつもの車が止まっていた。
そしていつもの丸本ジィジの姿も。

「おはようございます、カヤ様」
「う～ん、夏休みなのに夏休みな感じがしない」
いつもの朝にあたしは苦笑する。

「贅沢言わないの！　うちの中流家庭がこんな車に乗れるなんて、あり得ないんだから」
ユズちゃんはそう言い、あたしの背中をトンッと押した。
その力が強すぎて、あたしは車に顔から突っ込んでしまった。

ユズちゃん、力加減どうにかしようよ。
タラッと流れてくる鼻血をおさえつつ、あたしは車に乗り込んだ。
「じゃぁね、気をつけて行ってくるのよ？」

「うん、わかった」
なんだかんだ言っても、あたしの事を少しは心配してくれているのかな？
「【ツインズ】のサイン忘れたら半殺しだからね！」

前言撤回。
あたしはユズちゃんから視線をずらし「殺される前に早く出発してください」と、言ったのだった。
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