双子アイドルは俺様暴走族!
俺は内心イライラしていたけれど、笑顔を浮かべて男を招き入れた。
この男がここに来るということは、ただの偶然じゃないだろう。
嘘の笑顔を浮かべる時点で、こいつは俺たちのファンじゃない。

桜美の一味としてここまで来たに決まっている。
俺はカヤと男をリビングへ通した。
「カヤちゃん、こんにちは!」

リビングにいた圭がパッと出て来て、隣にいる男を見て目を点にした。
「あ、あのねこの人あたしの彼氏なの。実は……」
さっき俺にした説明を繰り返すカヤ。

圭はマジメに聞いているようだけれど、男の正体はすでに知っている。
「へぇ、お母さんがファンなんだ? でも今日そのお母さんは?」
「今日はちょっと用事で来られなくなってしまって……。代わりに俺がお2人からサインを貰ってくるってことになっちゃったんです」

そう言い、男は色紙を2枚取りだす。
ここに来る理由は用意周到。

あとはボーッとしているカヤを利用して一緒に家に入り、黒猫と白狗について調べるつもりだった。
って、ところか。
「カヤ、お前は廊下の拭き掃除をしてくれ」

俺がそう指示を出すとカヤは「えぇ!?」と、嫌そうな顔を浮かべて声をあげた。
「なんだよ、雑用しに来たんだろ?」

「それは……そうだけど……」
今度は眉をさげてシュンとする。
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