双子アイドルは俺様暴走族！
「あんたの方がよっぽど危険よ」
あたしは間髪いれずそう言い返した。
ほぼ初対面のハジメをぶん殴って気絶されるなんて、常識的にあり得ない。

《いいか、カヤ。あいつは桜美の一味だ。冗談じゃないんだぞ？》
「はぁ？　さくらびって何よ」
あたしは晴の言うわけのかわらない単語に首をかしげる。

《お前桜美を知らないのか？　時々ニュースになってるだろ》
と、晴は呆れたように言う。

そんな事を言われたって知らないものは知らない。
「桜だかなんだか知らないけど、あたしとハジメは赤い糸で結ばれているの！　運命なの！！」
あたしはそう言い電話を切ってやった。

全くもう、さっきの行いを謝罪するのかと思いきや、別れたかどうかの確認なんて、とんでもないやつだ。
ブリブリと怒りながらあたしはテレビ番組を返る。
気分転換するために面白い番組を見たいと思ったのだけれど、今はどこも夕方のニュースをやっている。

あたしは諦めてリモコンを置き、ニュース番組をかけっぱなしにしてお菓子の袋を開けた。
こうなったらやけ食いだ。
< 217 / 340 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop