双子アイドルは俺様暴走族!
自然と声は低くなり、相手を威嚇する。
《桜美だ》
「……どうしてカヤのスマホを持っている」
《どうして? 理由はお前が一番よく知っているんじゃないか?》

そう言い、バカにするようにその声は笑った。
こいつ、ハジメだな。
あの時一発でやめずにもう数発撃ちこんでやればよかった。
俺はギリッと奥歯を噛みしめる。
「黒猫を吸収するためか?」
《その通り。いや、厳密に言えば黒猫と白狗の両方がほしい》

その答えに、俺はフンッと鼻をならして笑った。
「俺たちを吸収しないといけないくらい、桜美は弱いのか? バックにヤクザを付けて好き勝手している連中に俺たちが屈すると思うのか」

《言ってろ。俺はお前たちの正体を知っている。いつでもその情報をバラまけるんだぞ》
「証拠は?」
そう聞くと、声は黙り込んでしまった。

カヤから話を聞いただけで、目に見える決定的な証拠はまだ掴んでいないようだ。
仮に携帯番号をばらまかれたとしても、その前に解約すればいいだけの話だ。
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