双子アイドルは俺様暴走族!
あ、ハジメがやられちゃう。
咄嗟にそう思った。
けれど、覆面男たちはハジメをグルリと取り囲むだけで、何もしない。

ハジメはナイフを持った手をカタカタと震わせ、ついに限界が来たのか武器を捨てて部屋の外へと逃げ出してしまった。
それを見てあたしはホッとすると同時に、ハジメに抱いていた恋心が一瞬にして冷めて行くのがわかった。

「行くぞ」
聞き覚えのある声をもった覆面男が、そう言い、ロープを外す。
あたしは口にねじ込まれているハンカチを抜き取り、軽く咳払いをした。

口の中の唾液がすべて布に吸い込まれてしまい、カラカラだ。
あたしは覆面男たちと共に、アパートを後にしたのだった。

外にある車に乗り込むと、ようやくホッと安堵のため息が漏れた。
そんなに緊張していなかったと思うけれど、無理な体勢でいたため腕が痛い。

クッキリとロープの後がついた腕をさすっていると、隣に座った覆面男が覆面を取った。
晴だ。
反対側の覆面男は圭だった。
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