双子アイドルは俺様暴走族!

☆☆☆

それから数十分後、車はカヤちゃんの家の前で止まった。
車から出ようとする丸本を制止し俺は自分から車を出た。
遅い時間で周囲は暗くても、一般人に【ツインズ】だとバレるかもしれない。

それはわかっていたけれど、これは自分で行動しなきゃいけない場面だった。
俺は深呼吸をしてカヤちゃんの家の玄関まで行き、チャイムを押した。
家の中からチャイムの音が聞こえて来て、次にバタバタと玄関へ向かう足音が聞こえてきた。
「はぁい」

カヤちゃんの声だ。
そして、ドアが開かれる。
目の前に立っている俺にキョトンとした表情を浮かべ、それから「なんで!?」と、声をあげた。

俺は慌てて人差し指を口に当てて「シーッ」と、合図する。
今ここで周囲の家にバレてしまうと台無しだ。

「カヤちゃん、ちょっといい?」
そう言いながら、俺はカヤちゃんの腕を握った。
細くて、今にも折れてしまいそうだ。

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