双子アイドルは俺様暴走族!
「え、今?」
「少しだから」
俺はそう言い、強引にカヤちゃんを家の外へと連れ出した。
そして車の中で待っている晴を手招きする。
晴はしぶしぶといった様子で車から姿を現した。

晴が出てきた瞬間、カヤちゃんの手が少し震えた。
カヤちゃんは晴を意識している。

それが俺自身にダイレクトに伝わってきて、胸が痛んだ。
周囲を植木で囲まれている小さな庭先に移動し、俺はカヤちゃんの手を離した。

「なんだよ、こんな所で話しって」
晴がめんどくさそうに俺を見る。

そんな晴を、俺は睨むように見た。
「黒猫総長、平野晴! お前に決闘を申し込む!」

ビシッと晴を指差して、俺はそう言ったんだ。
カヤちゃんは目をパチクリさせて俺と晴を交互に見つめている。

「はぁ……?」
晴もさすがに驚いているようで、カヤちゃん同様目をしばたたかせる。
「カヤちゃんを掛けた長期戦の決闘だ!」
「あ、あたし!?」

カヤちゃんが自分を指差している。
「あぁ……そういう事か」

晴はすぐに納得したようで、困ったように頭をかく。
「ちょ、ちょっと待って、なんであたしを掛けるの?」
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