双子アイドルは俺様暴走族!
晴が呆れたようにあたしを見つめる。
あたしはツンッと唇を付きだし、不機嫌さをアピールする。

「全部の課題をやったのはあたしだけなのに、当たり前だって言われた」
「あはは。普通の学生の仕事は勉強をすることだからねぇ。俺たちは違うけど」

圭がそう言い、カラカラと無邪気な笑顔を浮かべる。
あたしはその笑顔に癒されてしまいそうになりながらも、やっぱりこれは不公平だと心の中に怒りをとどめた。

芸能人に対するひいきの怒りではなく、チンピラ先生をいつか見返してやるという怒りだ。
そんなくだらない怒りで心の中を満たしていると、いつの間にか話題は変わり3日後から始まる球技大会のことになっていた。

深いグリーンの黒板に、チンピラ先生が球技の一覧を書いていく。
あたしはこの高校に来てから部活には入っていないから、ほとんど関係ない。
好きな球技を見学して、応援するくらいなものだ。

だからボーッと黒板の文字を眺め、チンピラ先生の言葉を聞き流す。

完璧に空調がきいている教室内だから、徐々に眠気に襲われ始めるあたし。
瞼はどんどん重たくなり、視界に白いフィルターがかかったようになる。

そんなときだった、晴があたしの肩をたたいた。
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