双子アイドルは俺様暴走族!
「このくらい、どうってことない」
そう言い、晴はバスケ部のマネージャーからシップを貰って腫れている足首にペタッとはった。
「そのくらいじゃダメだよ。ちゃんと処置しなきゃ」
今日この試合だけで終わるなら問題ないかもしれないけれど、晴はアイドルだ。
テレビやコンサートで踊る必要がある。
それでも自分から処置をしてもらおうとしない晴に、あたしは立ちあがった。
「ねぇ、包帯とかサポーターとかないの?」
バスケ部のマネージャーへ向かってそう聞くと、隣からスッと圭が姿をあらわした。
「あいにく、今日は用意していないみたいだよ?」
そう言い、無邪気な笑顔を浮かべる圭。
マネージャーは「確かちゃんと用意したハズなのに……」と、焦っている。
あたしは困っているマネージャーから視線を外し、圭を見た。
「圭……わざとじゃないよね?」
「ん? なんのこと?」
小首をかしげる圭。
あたしはジッと圭を睨みつけるように見つめて「なんでもない」と、小さく言い、その場所をあとにしたのだった。