双子アイドルは俺様暴走族!
そう言い、ニコニコと車のドアを開ける。
あたしは晴と一緒に車に乗り込みながら「あの、でもカバンとかが……」と、なんと
か逃れる方法を考える。
しかし晴は一枚も二枚も上手で、あたしたちのカバンはすでに車の中に乗せられてい
た。
どうやらこれは本当に諦めるしかないようだ。
1人肩を落とし、鼻血をふいたらどうしようと不安になるあたし。
そんなあたしに気がついたのか、途中丸本ジィジが振り向いた。
そして黒いバッグの中に大量に常備されている輸血用の血液をあたしに見せて、ニッコリと微笑む。
あたしはハハハッと苦笑いをして、再び脱力。
しかし……。
そっとあたしの肩を抱いてくる暖かな手にドキッと心臓は高鳴る。
「ここまで俺を本気にしたんだ、これから死ぬまでずっと俺のそばにいてもらうからな。これは命令だ、わかったな、恋人」
そう言う、意地悪なアイドル様に付き人から恋人へ昇格したあたしの顔は真っ赤になったのだった。
おしまい