アリス人形
海に戻ると、すでに辺りは闇に包まれていた。

「アリス、お詫びにいいもの見せるっピ!」

「え、何なに?」

漆黒の闇の中、ニセガメは大きめな貝殻を拾い上げ、海に投げこんだ。

──ボチャン

貝殻は音を立て、海に吸い込まれていく。と同時に、辺り一面が蒼白く輝き始めた。

「うわぁ!凄い!きれーい!」

亜里珠は歓喜のあまりぴょんぴょん飛び跳ねた。光はよく見るとスペードの形をしている。

「光は発光魚がだしてるんだ。」

帽子屋は帽子のツバを上げ、穏やかにほほえんだ。

「へぇ〜。」

亜里珠はしばらく、うっとりとその神秘的な光景を眺めていた。

帽子屋はにんまりとニセガメの肩を掴む。

「んじゃ、ニセガメ。そろそろ芋虫が何処にいるか教えろよ。」

「でももう芋虫は「嘘はもういいから早く、お し え ろ!」

「…わかったっピ。」
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