アリス人形
ニセガメは鋭い形相でこちらを睨み付けていた。





ニセガメの心が闇に飲み込まれた瞬間だった。





「気にするな。あれは、俺達のせいじゃない。」

帽子屋が前を見据えたまま、はっきりとした口調で言った。

「急ぐぞ。芋虫までイカレちまったら収拾つかなくなる。」

「…うん。」

目指すはハートの王のバラ園───バラの迷路。
< 107 / 163 >

この作品をシェア

pagetop