アリス人形







「あ。お姉ちゃん!」

駆け寄ってきたのは、ずっと捜していた愛しい妹。私は嬉しくて嬉しくて妹を強く抱きしめた。

「亜里香!心配したんだよ!」

「お姉ちゃん…、」

しかし、亜里香はそっと私から離れた。感情のない瞳が私を見据える。

「違うよ。わたしはアリス。」

小学生とは思えない冷静で冷たい口調。妹の言葉がグサリ。私の胸に突き刺さった。

「まだ、思い出せないの?」

「えっ……。」

気付けば、亜里香は鎖でぐるぐる巻きの箱を抱えている。

「あぁ、まだ思い出したくなかったかなぁ。ゴメンネ?」

ゴメンネの言葉には全く気持ちがこもっていない。

やだ。怖い…。

「やっ…。」

「思い出させて、あげようか…?」

その小さな手がしっかりと鎖をつかむ。

怖い…恐い……!






オモイダシタクナイノ。






「やめてー!!!!!!!!!!!!!!」
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