アリス人形
「何?」

くるっと振り向いたアリスに、帽子屋はクッキーをひとつ、差し出した。

「ポケットの中に入っていた…食うか?」

「え、いいの?」

アリスは上目遣いで帽子屋を見つめ、微笑みかけた。

「こっちは茶会で甘いもん飽きてんだ。いいから食えよ。」

帽子屋はそんなアリスから目を逸らし、押しつけるようにクッキーを渡した。

「へぇ?…ありがとっ!」

「おう。」

先はまだ遠いようだ。緑の道は続く。

「でさぁ。」

アリスが再び口を開いた。

「何だよ。」

「僕を小さくしてどうする気かなぁ?帽子屋は。」
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