アリス人形
「なんだ、ばれてたか。」

帽子屋は両手を上げ、鼻で笑った。アリスはクッキーを足で踏みつけ、やれやれとため息をもらして、

「経験者だからね、僕は。」

と、可笑しそうに笑ってみせた。

「流石は3rdアリス…だな。」

帽子屋は適当に拍手をする。

「あれ?よく分かったね。僕が3番目だって。」

「アリスで男性はたった1人だけだったからな。」

「あ、性別もばれてたんだ?」

「ったりめーだ。いいから亜里珠を返せ。」

帽子屋がそう手を伸ばすと、アリスは得意そうな目を帽子屋に向け、短くこう言った。

「やだね。」
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