アリス人形
「ゔ!?…ケホッケホッ!」
亜里珠はまともに煙を吸ってしまったらしく、しゃがみこみ、体をまるめてむせかえった。
「闇とはよく心を惑わし、世界の中に紛れこむ。」
「ウサギ達が嘘をついているとでも言うのか?」
今だむせ返る亜里珠の変わりに、帽子屋が反論した。芋虫は慌てて否定する。
「いやいや!嘘ではない。奴は覚醒するまではただの白いウサギだった。」
亜里珠と帽子屋が顔を見合せ、眼を丸くした。亜里珠は芋虫に向き直り、強ばった顔で聞いた。
「…って事は、黒ウサギは闇に操られているだけ…?」
「ああ、そうなるな。」
それを聞いた亜里珠は、難しい顔のまま立ち上がった。
「…助けなきゃ。」
意志が固まった瞬間だった。
芋虫は言う。
「黒ウサギは、君の…自ら閉ざした真実の中に潜り込んでいる。他のアリス達は真実に押しつぶされて死んだ。君も例外とは限らない。それでも、」
「大丈夫。覚悟ならもう出来てるよ。それに、」
亜里珠は帽子屋の手を取り、微笑んだ。
「帽子屋さんがいるもん。ね。」
帽子屋も繋がれた手を握り返し、微笑んだ。
「ああ。」
「…そうか。」
そして、芋虫は葉巻を捨て、こう付け足した。
亜里珠はまともに煙を吸ってしまったらしく、しゃがみこみ、体をまるめてむせかえった。
「闇とはよく心を惑わし、世界の中に紛れこむ。」
「ウサギ達が嘘をついているとでも言うのか?」
今だむせ返る亜里珠の変わりに、帽子屋が反論した。芋虫は慌てて否定する。
「いやいや!嘘ではない。奴は覚醒するまではただの白いウサギだった。」
亜里珠と帽子屋が顔を見合せ、眼を丸くした。亜里珠は芋虫に向き直り、強ばった顔で聞いた。
「…って事は、黒ウサギは闇に操られているだけ…?」
「ああ、そうなるな。」
それを聞いた亜里珠は、難しい顔のまま立ち上がった。
「…助けなきゃ。」
意志が固まった瞬間だった。
芋虫は言う。
「黒ウサギは、君の…自ら閉ざした真実の中に潜り込んでいる。他のアリス達は真実に押しつぶされて死んだ。君も例外とは限らない。それでも、」
「大丈夫。覚悟ならもう出来てるよ。それに、」
亜里珠は帽子屋の手を取り、微笑んだ。
「帽子屋さんがいるもん。ね。」
帽子屋も繋がれた手を握り返し、微笑んだ。
「ああ。」
「…そうか。」
そして、芋虫は葉巻を捨て、こう付け足した。