アリス人形
何?聞こえない…。

「どうしたの?アリス。」

人馬の手を取る寸前、亜里珠は右耳に手を当て、辺りをキョロキョロしだした。

ちょうど背後からは「亜里珠、亜里香、誕生日おめでとう!」と、賑やかな声が響き渡る。

「…何でもない。」

どこか不自然な家族を目にしたまま、亜里珠は、ねぇ。と人馬に話し掛けた。

「あの亜里珠と亜里香、まるで…」

「双子みたい?」

人馬は先読みし、ほくそ笑んだ。
亜里珠は無言で頷く。

「今はまだ早いわ。ちゃんと段階を踏みましょう?」

亜里珠の震える手を、人馬はぎゅっと握り締めた。

「そう、だね。」

「さあ、目を閉じて?今度こそ、貴方を真実へ!」
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